パワーエレクトロニクス知識

【パワエレ】直流モーターの仕組みを解説

電気自動車や掃除機など、様々なモノにモーターが使用されています。

SESの組み込み系システムエンジニアでは、あまりモーターの原理や仕組みを使って業務を進めることは少ないかもしれません。

ただし、モーターの仕組みや用語を知っておくことで、今開発しているシステムや仕様書の理解が深まり、システム全体の構成が見えてくることもあります。

そうなると、業務が少し楽しくなってきますので、モーターの仕組みはぜひとも理解しておくべきだと思います。

 

この記事では、今では産業用のモーターではあまり使用されていない直流モーターについて解説をしていきます。

直流モーターは、モーターの動作を理解する上で大事な知識が詰まっていますし、直流モーターの回転原理を知らないと、他のモーターの仕組みも理解出来ないと思います。

そのため、前提知識として身に付けてほしい内容に絞って解説していきます。

直流モーターとは?

直流モーター(DCモーター)とは、電池や直流電源(DC電源)で動くモーターのことです。

乾電池で動くおもちゃや小型ファンなどに使われているモーターは、ほとんどが直流モーターです。

電圧を変えるだけで回転速度を調整することが出来るという性質があるため、1980年代までは鉄道車両などの大型モーターに使われていました。

ただし、直流モーターはメンテナンスが大変だったり、エネルギー変換の効率が悪い等のデメリットがあります。

そのデメリットが解消された交流モーターが登場したため、産業用のモーターはどんどん交流モーターに置き換わっていきました。

直流モーターの構造

直流モーターは、主に以下の部品で構成されています。

  • 回転子(ローター):回転する部分。コイル(巻き線)と思っておいてOK。
  • 固定子(ステーター):磁界を与え固定された部分。磁石と思っておいてOK
  • ブラシ:整流子に触れることで回転子に電流を供給する部品。
  • 整流子:電流を流す方向を切り替える部品。

簡単に直流モーターの原理を図で書くと、こんな感じになります。

ざっくり言うと、「磁石の間に置いたコイルに電流を流すと、コイルが回る」という感じですね。

コイルが回り始める仕組み

コイルに電流を流すと、コイルが回転し始めます。この時、どういった力でコイルが回転するのかを説明します。

磁場が発生している中で、物体に電流が流れると、その物体には力が働きます。

この磁場・電流・力の向きの関係を左手で表すのが、「フレミングの左手の法則」です。

  • 親指:物体にかかる力
  • 人差し指:磁界の向き
  • 中指:電流の向き

電・磁・力という感じで覚えましょう。

この知識を使って、モーター回転する原理を見ていきます。

磁界の向きは、N極からS極へ向かうため、磁界の向きは左向きになります。

電流はプラスからマイナスなので、コイルの左側は奥に向かうように流れ、コイルの右側は手前に向かうように流れます。

ここで、フレミングの左手の法則を使います。

左側のコイルに磁界と電流の向きに合わせると、親指が上向きになるため、左側コイルには上向きに力が働きます。

右側のコイルも同じ様にフレミングの左手の法則を使うと、親指が下向きになるので、右側コイルには下向きに力が働きます。

よって、コイルは右向きに回転していきます。

コイルが回転を続ける仕組み

コイルが回転を始める仕組みは理解出来ましたか?

では、ここから回転が進んだ後の回転の仕組みを説明していきます。

90度回転したとき

ここで、コイルが90度回転した後の図を見てみましょう。

ブラシと整流子が離れてしまうので、電流をブラシからコイルに供給できなくなり、コイルに電流が流れなくなります。

しかし、90度までコイルが回転しているため、その勢いでコイルは回転し続けます。(慣性の法則)

よって、90度を超えると電流は流れなくなりますが、慣性の法則で回転してくれます。

180度回転したとき

180度回転したとき、電流が逆向きになるという問題が発生します。

回転する前、左側のコイルには奥向きに電流が流れていますので、180度回転して右側まで来たときも奥向きに電流が流れています。

そのときにフレミングの左手の法則を使うと、上向きに力が働くことになるので、回転が止まってしまうように思えます。

 

ここで登場するのが整流子です。

180度回転したところで整流子が電流の向きを整えてくれるので、電流の向きは最初と同じようになります。

つまり、左側コイルには奥向きに電流が流れ、右側コイルには手前向きに電流が流れますので、コイルは左向きに回転していきます。

整流子によって、コイルは回転を続けることが出来るというわけですね。

直流モーターの回転速度の調整方法

直流モーターの回転速度は、電圧(ボルト)の値を変えることで調整可能です。

回転速度を上げたい場合は電圧の値を上げて、回転速度を下げたい場合は電圧を下げます。

たったこれだけなので、直流モーターの回転速度を変えるのは簡単にできます。

ただ、電圧を上げて直流モーターの回転速度を上げると、めっちゃ音が鳴ります。。

ぼくもデスクで直流モーターの回転速度を上げて試験をすることがあったのですが、めちゃくちゃ音がうるさくて、周りの人に気を遣いました。

さいごに

直流モーターが回転する仕組みについての説明は以上です。

ざっくり理解出来るように、直流モーターの細かい部分は省略していますので、もっと詳しい理論とかを知りたい場合は書籍とかを読んでみて下さい。

それでは、次は交流モーター(永久磁石同期モーター)の解説記事を書く予定なので、そこでさらにモーター知識を深めていきましょう!